高血圧症
血圧が高い状態が続くと血管に大きな負担をかけます。脳卒中、心筋梗塞などになるリスクが高まり、腎臓にダメージを起こして人工透析が必要になる可能性もあります。
血圧を管理することで脳卒中や心筋梗塞、腎臓病などの病気にかかりにくくすることができます。
こうした病気のリスクはお一人おひとり違いますから、コントロールする血圧の目標もまた変わってきます。すでに糖尿病になっている場合などは厳格なコントロールが必要ですが、他に病気がない方はゆるやかな数値を目標にします。
基本は食事療法と運動療法ですが、減塩・ダイエット・適度な運動・禁煙などをしても思うような効果が得られない場合には降圧剤を内服する必要が出てきます。
下図は目安になる血圧の目標値です。
※診察室などで測ると血圧が高めに出る傾向があるため、診察室血圧とご自宅で計測した家庭血圧を別に表記しています。
高脂血症
脂質異常症の中でも高脂血症は動脈硬化の原因になりますので、数値が高い場合には生活習慣を改善する必要があります。生活習慣の改善で効果が見込めない場合には、内服薬によるコントロールを行います。
高脂血症による動脈硬化で病気が起こるリスクは、人によって大きな違いがあり、一概にこれ以下にするべきという目標数値を示すことはできません。
たとえば、糖尿病や心臓病の方、または血縁者にこうした病気の方がいる場合や、喫煙されている方の場合は、かなり厳重なコントロールが必要になります。逆に、更年期を過ぎた女性の場合、閉経しエストロゲンというホルモンの減少することで高脂血症になるのは自然の摂理ですので、糖尿病や喫煙習慣がなければLDLコレステロール値のコントロールにそれほど神経質になる必要はありません。
下図は2012年日本動脈硬化学会のガイドラインです。
高尿酸血症
尿酸が高くなると痛風発作がいつ起きてもおかしくない状態になります。これは、尿酸の結晶が冷たくなる足の先などにできるからです。また、高尿酸血症は動脈硬化の原因のひとつともされています。
痛風の既往があり、尿酸値が高い方は内服薬を服用し、尿酸値を6以下に下げておくことでリスクを抑えることができます。
尿酸の薬は、尿酸を排泄させる薬と産生を抑制する薬の2種類があります。尿酸を排出させる薬は結石を作る可能性があるため、それを防ぐために尿をアルカリにする重層などの薬を併用します。なお、尿酸の産生を抑制する薬には、1日1回服用するだけの内服薬も登場しており、コントロールしやすくなっています。
また、高血圧の薬(イルベサルタン)、高脂血症の薬(フェノフィブラート)、糖尿病の薬(SGLT2阻害剤)などは尿酸を下げる働きがあります。高血圧や高脂血症で尿酸値が高い場合、こうした薬を選択することもできます。
糖尿病
糖尿病は、高血圧症、高脂血症と同様に体中の血管に障害を与える病気です。脳こうそく、狭心症、心筋梗塞、腎障害など病気の原因になるだけでなく、網膜症や足の動脈の閉そく、関節炎神経障害といった合併症も現れます。また、免疫力が弱まるため、胃がんをはじめとするがんのリスクも高くなります。
中程度の糖尿病までですが、1日1回の内服で効果がある薬剤(DDP4阻害剤やSGLT2阻害剤)が登場してきています。今まで主流だった内服薬のSU剤は、インスリンを膵臓から絞り出すような作用があり、体重を増加させてしまう傾向がありました。それではとりあえずの血糖のコントロールはできますが、大局的に見て決して体全体のコンデションを改善させることにつながらないケースがよくありました。
最近出たSGLT2阻害剤は、腎臓で起こる糖の再吸収を抑制させて糖を尿から出し、体重を減少させます。ご本人の意志が強ければ、運動とダイエット、そしてこの薬で、根本的な体質の改善が可能です。
また、糖尿病はがんになるリスクが高いとされています。たとえば胃がんでは、糖尿病があってピロリ菌に感染している場合、糖尿病がなくピロリ菌が感染している人の約3倍胃がんになりやすいという報告がされています。
当院では、血糖値をHbA1c(ヘモグロビンA1c)で調べる迅速な検査を行っています。
急性上気道炎
急性上気道炎
ウイルスが鼻や喉に感染することで発症しますが、悪化すると細菌の2次感染が起こることもあります。ライノウイルスアデノウイルスエンテロウイルヘルペスウイルス、そしてインフルエンザウイルスも急性上気道炎の原因になり、ウイルスによって症状が異なります。インフルエンザウイルスの場合には抗ウイルス剤が効きますが、他のウイルスの場合には効果が見込めないため対処療法を行います。また、2次感染して悪化させないために抗生剤を使うこともあります。なお、症状を抑えるという意味で、漢方が効果的な場合もよくあります。
インフルエンザ
昨シーズンは流行が遅れましたが、通常の場合12月には流行がはじまることが多くなっています。予防接種の効果も期待できますが、何より日常でのうがい、マスクの着用が効果的です。
インフルエンザの診断は発熱が起こってから数時間経過しないと陽性が出ません。それでも、治療は早期に開始するほど有熱期間が短くなり、症状の軽減、肺炎などの合併症の予防に高い効果があります。当院にはラピアクタとう抗インフルエンザ点滴剤の在庫を用意しています。吸入剤や内服薬(タミフル)もがありますが、この点滴剤の効果が一番高いと診療を通じて感じています。
なお、当院ではより早期にインフルエンザを検出することが可能なフジフイルムのDRI-CHEMIMMUNOAG1を導入しています。
咽頭炎
咽頭の細菌感染が原因ですので、抗生剤の投与と漢方薬による症状の緩和が効果的です。症状が重い場合には血液検査で炎症反応を確認し、重症のケースでは抗生剤の点滴を行います。全身管理や入院加療が必要など、クリニックでの対応が難しい場合には、有床病院の耳鼻咽喉科をご紹介しています。
慢性疾患の治療
甲状腺の疾患、肝臓病、腎臓病に関しては、血液検査や超音波検査、そして内服薬処方を行っています。
慢性的な下痢、便秘など、機能的な胃腸の症状にも内服薬を処方し、症状の原因となる重大な疾患の有無もしっかり検査を行います。
喘息やCOPDといった呼吸器疾患では、適切な内服薬、吸入薬の処方、そして必要であればレントゲン検査や呼吸機能検査を行っています。
大学病院や基幹病院との連携治療などもご相談ください。
骨粗しょう症
女性は閉経後エストロゲンが減少するため、骨粗しょう症のリスクが増大します。
骨が柔らかくなってしまうため、骨折しやすくなり、背骨の骨が折れる圧迫骨折で身長が低くなるケースもよくあります。骨折というと大きな痛みがありそうに思えますが、骨粗しょう症による圧迫骨折は気付かないまま進むことがほとんどです。圧迫骨折で1個の錐体骨折があると身長が1cm低くなってしまうとされています。
当院では骨密度を測定していますが、結果はすぐにわかります。計測した骨密度が若い方の70%以下になったら、薬による治療が必要です。
骨粗しょう症で主流になっている薬は、ビスホスホネート剤です。これは、1週間に1度や1か月に1度の内服薬や点滴です。
また、閉経直後の方には、エストロゲンの働きをする薬(エビスタなど)や、ビタミンD剤、カルシウム剤などを使って骨粗しょう症による圧迫骨折などの予防につなげる治療も行っています。
花粉症
花粉症について
花粉症は植物の花粉が原因になってアレルギー症状を起こす病気です。スギやヒノキによる花粉症が有名ですが、他の植物によるものもあり、夏や秋に症状を起こす方もあります。
花粉症にように決まった季節にくしゃみや鼻水などのアレルギー症状を起こすものは、『季節性アレルギー性鼻炎』と呼ばれています。
アレルギー性鼻炎には、季節性アレルギー性鼻炎の他に通年性アレルギー性鼻炎があります。
どちらも症状を起こす原因物質(アレルゲン)を知ることで、効果的な予防につなげることができます。
季節性アレルギー性鼻炎
原因となる花粉の飛ぶ季節にだけ症状が起こり、複数の植物の花粉にアレルギーを起こす場合があります。日本では、約60種類の植物が花粉症を引き起こすと報告されており、春だけでなく、夏や秋に症状が起こる場合もあります。
主なアレルゲン
スギ、ヒノキ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、シラカンバなど
症状
くしゃみ・鼻水・鼻づまりという鼻の三大症状と、かゆみ・涙・充血など目の症状を伴う場合が多くなっています。その他に、喉のかゆみ、皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽさなどの症状が現れることもあります。
また、シラカンバ・ハンノキ・イネ科植物などによる花粉症の場合、ある果物や野菜を食べると口の中にかゆみや腫れが起こる「口腔アレルギー症候群」という症状もあります。
通年性アレルギー性鼻炎
原因物質であるアレルゲンが一年中あるので、症状も一年中あります。
主なアレルゲン
ダニ・ハウスダストなど家の中のちり・ゴキブリなどの昆虫、ペットの毛やフケなど。
症状
くしゃみや鼻水、鼻づまり、目や喉のかゆみなどの他に、喘息やアトピー性皮膚炎などを合併することがあります。
花粉症の薬
当院では、花粉症の症状を緩和させる内服薬や点鼻薬、点眼薬を処方しています。お気軽にご相談下さい。